図書情報室

なぜ働き続けられない?社会と自分の力学

05/カ

鹿嶋 敬/著

岩波書店

男女の完全な平等を目的として、1979年に採択された女子差別撤廃条約。1985年に批准した日本では、同年男女雇用機会均等法が制定され、女性たちの男女平等への期待は高まった。
それから34年が経過した今、男女間の格差は解消され、女性が活躍できる社会になれただろうか。
本書は、政府の諮問機関である男女共同参画会議議員を務め、第4次男女共同参画基本計画策定等にも深く関わった著者が、様々な資料や統計を基に女性労働の問題点について解説している。最大の問題である性別役割分担意識の壁を乗り越え、真に女性が活躍できる社会になるための視点がここには示されている。

Dear Girls 自分らしく生きていくための28の言葉

07/デ

朝日新聞「Dear Girls」取材班/著

朝日新聞出版

世界経済フォーラムが発表した2016年のジェンダーギャップ指数(経済、教育、健康、政治の4分野から男女格差が示される)において、世界144ヵ国中で日本は111位と最下位レベルであった。性別に関わらず医療や教育が受けられる(ように見える)"先進国"の日本で、この順位は衝撃的な低さだ。
しかし同時に、"正直、この順位の低さには納得してしまう"という新聞記者たちが、日本での女性を取り巻く社会の「固定観念」について、2年にわたり紙上で問題提起をしたのが本書である。そしてその最大の魅力、お薦めしたいのは、「Girls(女の子)」だけではなく、年齢や性別を超え「自分らしく生きたい」と願うあらゆる人々へのメッセージにもなっている点だ。

文系と理系はなぜ分かれたのか

41/オ

隠岐さや香/著

星海社

「文系」か「理系」の選択。学生時代にその二択を経験した人は多いだろう。この学問の区分けは、進路や職業にまで影響する。文系と理系はなぜ分かれたのか、この本では、著者の科学史家としての視点で鮮やかにその歴史が紐解かれ、分析されている。特に4章の「ジェンダーと文系・理系」に書かれた「ジェンダー役割とステレオタイプ」や「男性と言語リテラシー問題」における指摘は、今の日本が抱える問題の根源が見え、考えさせられた。
今から「文系」か「理系」の二択をする学生はもちろん、親世代にもぜひ読んでほしい1冊である。

エトセトラ Vol.1 特集 コンビニからエロ本がなくなる日

05/エ

田房永子/責任編集

株式会社エトセトラブックス

身近なテーマから「フェミニズム」を考える雑誌が創刊した。
出版社を立ち上げた松尾亜紀子氏は、大学でフェミニズムと出会ったことがきっかけで、幼い頃から感じていた小さな違和感(お父さんは何故家事をしないの?等)が、社会や文化の中の性差(ジェンダー)につながっていると気付いた。その違和感を「はっきりと言葉にしないと伝わらない」と覚悟を決め、2018年末、フェミニズムを前面に打ち出す出版社を設立した。(5/28読売新聞の記事より)
この創刊号では、大手コンビニが成人向け雑誌の販売を中止したことを受け、「コンビニからエロ本がなくなること」について、作家やエッセイストからの寄稿や一般投稿者からの意見が、大手コンビニ4社へのアンケートとともに記録されている。
これまで、コンビニに成人向け雑誌が置かれていたことに違和感を持ちつつも、声に出すことができなかった私たちが、この雑誌の出版により、社会や文化の中の性差(ジェンダー)について言葉にできる、また、考えるきっかけとなるはずだ。

地方を変える女性たち カギは「ビジョン」と「仕組みづくり」!

57/フ

麓幸子/著

日経BP社

本書は、日経ウーマンの元編集長である筆者が、様々な活動で地方を元気にしている女性17名をインタビューしたウェブサイトの記事をまとめたものである。産業や空き家問題といった地域の課題、コミュニティやまちづくり等、多様な分野で活躍する女性が紹介されている。
彼女たちの活動には、いくつかの共通項がある。ひとつは、多くの女性が「100年後」の未来のビジョンを語っているという「未来志向」であること。また「グローカル(グローバル+ローカル 地球規模の視野で物を考えつつ、必要に応じて地域視点で行動すること)」であることなど。
「地方創生」や「地方活性化」の専門家は圧倒的に男性が多い。しかし、女性の力を生かせば地方は変わる。性別にとらわれず、活躍する彼女たちの活動やパワーから、自分たちのまちをよくするためのヒントを見つけてほしい。

たてがみを捨てたライオンたち

101/シ

白岩玄/著

集英社 

仕事に行き詰まり専業主夫になるべきか悩む男性、妻の気持ちは分からないと割り切って離婚したものの孤独を感じている男性、女性に幻想を抱くアイドルオタクの男性。3人の男性の悩みや葛藤が描かれていく中に、ある女性から「男の人は他人より勝っていると思っているところを肯定してあげるとリラックスするの。」というセリフがこぼれ落ちてくる。いつも誰かに勝っていないと安心できないとは、なんと厳しい世界だろう。
本書は、男としての「たてがみ」をまとい、デキる男でなくてはならないという呪縛で、男性が窮屈に生きていることに気づかせてくれる。そしてあるべき男性像をなぞることに疲れてしまった彼らは、たてがみを捨てて、本音を話して生きたらどうなるかを考え始める。

今生きるのが苦しい男性たちに寄り添ってくれる1冊。