図書情報室

女ともだち ガール・ミーツ・ガールから始まる物語

女ともだち ガール・ミーツ・ガールから始まる物語

102/ハ

はらだ有彩/著

大和書房

なぜ、女同士の繋がりは、軽く扱われるのだろうか。
「女」という要素が加えられることで、彼女たちの真摯さや深刻さが低く見積もられ、揶揄され消費されてはいないだろうか。
本書では、映画、コミック、児童文学などの様々な作品に登場する“女ふたり”の関係に眼差しを向け、それぞれの物語を辿ってゆく。彼女たちの関係性は多様で、友人、上司と部下、恋人、双子など言葉にできる関係もあれば、ひとことでは言い表せない関係もあるのだが、その一つ一つが特別で大切な関係だ。彼女たちが相手の姿を見つめる時、その視線は深く「個」に注がれている。一緒にいる時間の長さや距離に関係なく、“あなたがいるから、私は私の道を行く”という関係がそこにある。
彼女たちの物語が私たちの過去や未来と重なり、大切な人との名もない関係性を肯定してくれる。今必要とされるシスターフッドが息づく大切なエッセイ。

イラストで学ぶジェンダーのはなし みんなと自分を理解するためのガイドブック

イラストで学ぶジェンダーのはなし みんなと自分を理解するためのガイドブック

05/ゴ

アイリス・ゴットリーブ/著  野中モモ/訳 

フィルムアート社

ノンバイナリー(*自分を男女どちらの性別にも分類されないとする考え)を自認する著者が、カラフルでポップなイラストと言葉で、ジェンダーの多様性を紹介する一冊。「多様性」と聞くと、LGBTQの話題を連想しがちだが、本著はそこにテーマを限定しない。黒人男性の生きづらさ、女性の貧困、摂食障害、セックスワーク差別の問題……自由な生き方を阻む「こうあるべき」をほぐすヒントを、カテゴリーで区切ることなく、詰めこんでいる。
なかには馴染みのない話題もあるかもしれない。しかしそれは、まだあなたが出会っていない、社会の誰かの話かもしれない。自分でも気づいていなかった自分自身の話かもしれない。わたしもあなたも、誰もが自分らしく生きていい。「みんなと自分を理解する」という副題には、そんなメッセージが込められているように思う。

哲学の女王たち もうひとつの思想史入門

哲学の女王たち もうひとつの思想史入門

16/テ

レベッカ・バクストン、リサ・ホワイティング/編 向井和美/訳

晶文社

「哲学者」と聞いて思い浮かべるのは誰? 何人の名前を挙げられる?
そんな問いに対し、多くの場合、男性の哲学者しか思い出せないのではないだろうか。そして、この『哲学の女王たち』というタイトルを見るまでは、女性哲学者の名前を知らないことに気づきもしなかったのではないだろうか。
男性に比べればうんと少ないことは事実だとしても、プラトンの時代から女性哲学者は存在したという。本書では、そこから今に至るまでに活躍した女性哲学者の中から20人をとり上げ、現在の女性哲学者たちが各章をそれぞれ執筆した。
一人ひとりの功も罪も含めた業績がコンパクトにまとめられ、サブタイトルにあるとおり、思想史の入門書としてもお薦めしたい。馴染みの薄かった哲学の世界の見晴らしが良くなる愉しさもさることながら、努力し、足跡を残した女性たちの姿に力をもらえる1冊だ。

早く絶版になってほしい #駄言辞典

早く絶版になってほしい #駄言辞典

05/ダ

日経xwoman/編

日経BP

「女性なのに仕事ができるね」「男なんだから黙って働けよ」「涙は女の武器だよな」「男だから多少厳しくしても大丈夫だろ」。
世の中に数多ある、性別への偏見による「駄言(だげん)」。聞いたり、言われたり、もしかしたら自ら言ってしまったことなどはないだろうか?
本書には実際に言われた駄言が400以上掲載されている。積み重なったその破壊力は相当だ。
しかし中には「無意識のバイアス(偏見)」に気づけない人もいる。何気ない一言が、相手を傷つけている場合もあるのだ。「そんなに大げさに考えなくても」と捉えず、社会のステレオタイプ(固定観念)をなくすために、本書とともに駄言にNOを言える世の中を目指したい。

男が介護する 家族のケアの実態と支援の取り組み

男が介護する 家族のケアの実態と支援の取り組み

92/ツ

津止正敏/著

中公新書

今、家族を介護する男性は100万人を超え、介護者の約1/3が男性になっている。10年前に「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」を立ち上げた著者は、全国の男性介護者の声に耳を傾けてきた。本書では、家族の大黒柱という規範や自負が自縄自縛となり、追いつめられたり、弱音を吐かずに誰にも頼らず、1人で抱え込む姿が体験談を通して伝えられる。
また、今現在、各所に多数存在している男性介護者の会は、「家族が介護力をつけ、日頃の鬱積を吐き出し、ケアされる人と自分のかかわりを第三者の目で点検され、問題解決方法をアドバイスされ、さらに自分の奮発する心をよび起こす源となっている。」と紹介されている。ここでは、彼らが先取りし切り開こうとしている介護のある暮らしを標準とするような新しい「生き方モデル」によって、次代の希望の光を提示している。

さよなら、男社会

さよなら、男社会

08/ユ

尹雄大/著

亜紀書房 

著者は、この現代の社会は「だいたい18歳から65歳くらいまでの、健常者かつ異性愛者のマジョリティの男性」向けにつくられている男性優位社会だという。
その男性が優位な社会に、著者自身が男性として生まれて、いかにして「男性性」を身に着けたのかを考察する。そして違和感を振り返ることから、「男社会」の中の、女性を差別し、男性を生きづらくしている問題点を提起している。
世代の違いはあるが、著者と同じような経験を経て、自分自身の「男性性」「女性性」が刷り込まれ、築かれてきたことに気づかされるのではないだろうか。