図書情報室

あっ!そうなんだ!わたしのからだ

あっ!そうなんだ!わたしのからだ

中野久恵 星野恵/編著 勝部真規子/絵

エイデル研究所

『わたしのからだ』は“あっ!そうなんだ!幼児に語る性と生”シリーズ第2弾。子どもと一緒に読む絵本編と、大人が前もって読んでおきたい解説編で構成されている。
絵本編では、子どもが「自分のからだは大切」という意識を育めるように、からだの名前、トイレの仕方やプライベートパーツの洗い方、からだをさわられてイヤと感じたときどうするか等、日常生活の場面で性を学び、話し合える内容を紹介。解説編では、絵本が伝えたい内容を補足し、どんな視点で子どもと話し合えばよいのかが丁寧に書かれており、大人が自信を持って学びを支援できるよう工夫されている。
子どもが自分のからだに興味を持ちはじめる幼少期に、子どもと一緒に楽しみながら読んでほしい。

男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く

男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く

05/ペ

キャロライン・クリアド=ペレス/著

河出書房新社

著者は英国籍のジャーナリストであり、フェミニスト活動家でもある。
本書で彼女は、日常生活、職場、デザイン、医療、市民生活、災害のそれぞれの分野におけるジェンダー・ギャップを分析し、データに女性が存在していないこと、そのため女性に不利益が生じていることを述べている。
例えば、薬の治験では、男性の体を基準として行われるため、女性患者への誤った薬の投与で病気を悪化させたり、最悪の場合は死亡することを指摘している。
「多くの男女差別は悪意によるものではなくて、認識の欠如によって生じている。差別の認識の欠如は差別の助長につながってしまう。まず差別の存在を認識し、その問題がどんな被害を生んでいるかを知り、解決や改善に向けて行動を起こすことが重要だ。」という言葉が印象に残った。

主婦を問い直した女性たち 投稿誌『わいふ/Wife』の軌跡にみる戦後フェミニズム運動

主婦を問い直した女性たち 投稿誌『わいふ/Wife』の軌跡にみる戦後フェミニズム運動

05/イ

池松玲子/著

勁草書房

高度経済成長最中の1963年に創刊されたのが投稿誌『わいふ』(2006年から『Wife』)だ。投稿内容は、会員主婦たちの日常のあれこれが主で、同時期に多数創刊されたフェミニズムをベースにしたミニコミ誌等とは趣を異にする。妻=主婦というレールを敷かれ、それを受け入れた多くにとって、フェミニズムは耳ざわりのいいものではなかったのだ。
だが、そのような誌面づくりの中で、『わいふ/Wife』は確かに、主婦たちに向け「主婦」というあり方を相対化するメッセージを伝え続け、そして戦後フェミニズム運動の一側面を形成する。どのような経緯でそれを実現してきたかを、緻密な研究から紐解く一冊である。

あなたの会社、その働き方は幸せですか?

あなたの会社、その働き方は幸せですか?

58/デ

出口治明・上野千鶴子/著  

祥伝社

生命保険会社の社長や大学の学長の経験から「働くこと」について数多くの講演や提言をしている出口治明氏とジェンダー研究のパイオニアの上野千鶴子氏が、日本に色濃く残る「男は仕事、女は家庭」というアンコンシャス・バイアスに「働き方」という視点で切り込む。
著者2人の対談とそれぞれが自身の働き方を振り返ることで構成されており、これからの時代に必要な知恵や仕事の武器をどう身につけるか、今後、働き方はどう変わっていくのか等が語られる。日本が「男性も重荷を背負わず、女性ももっと自由に生きられるようになれば」と2人が強く願っていることもひしひしと伝わる。
コロナ禍は、私達の日常を大きく変えた。「働き方」も大きく変わると言われる。この本を参考に、今、自身の「働き方」を見つめ直すのは良い機会なのではないだろうか。

ピエタとトランジ

ピエタとトランジ

101/フ

藤野可織/著

講談社

「シスターフッド」という言葉をご存じだろうか。女性同士の絆や親密な関係を意味し、時に女性差別に抗議し、解放を目指す女性同士の連帯を指すこともある。
本作の主人公は、殺人を引き起こさせる体質を持ちながら抜群の頭脳で事件を解決する女子高生のトランジと、彼女の才能に惚れ込み助手を務める女子高生のピエタ。二人はその生涯の中で、「女性である」がゆえに引き裂かれては、何度も執拗に結びつき合う。
活発で過激で暴力的な二人の姿は、「清く正しい女の子」像を拒否する。そんな二人が立ち向かう事件の背景には、この社会で女性がさらされる様々な「暴力」の問題が暗示されている。
物語の筋立てはアンモラルでもある。しかし、女性が押し付けられる当たり前に決して乗らず、むしろ颯爽と反撃する2人の「シスターフッド」な関係に、不思議と勇気づけられる。

第三の性「X」への道 男でも女でもない、ノンバイナリーとして生きる

第三の性「X」への道 男でも女でもない、ノンバイナリーとして生きる

78/ヒ

ジェマ・ヒッキー/著 上田勢子/訳

明石書店

ノンバイナリーという言葉は、バイナリー(二つからなる)でないことを意味し、性自認やジェンダー表現が男女という二つのどちらにも枠にも当てはまらないと感じる人のことを指す。
女性として生まれた著者は、幼少期から自分の性に違和感を覚え、周囲からのいじめや神父による性的虐待に苦しみながらも、カナダでLGBT運動のリーダーとして活躍し、同性婚合法化を実現、同国で初めて男女の記載がない出生証明書を取得した。
著者は聖職者による性的虐待の実態を訴え、LGBTQ2+コミュニティの権利と平等を求めるためにニューファンドランド島を徒歩で横断する。本書は、その旅の中で、著者自身が聖職者からの性的虐待の被害を受けた経験や、女性という性にあてはめられた苦悩などを乗り越え、自分のアイデンティティを探し続けた人生を振り返り、自分自身を癒していく記録である。