図書情報室 図書情報室

51/タ

世界で働く人になる!実践編 ~グローバルな環境でたくましく生きるためのヒント26~

田島 麻衣子/著

アルク

 本書の著者は、生活の拠点をほぼ海外に置く世界で働く国連機関職員。自らの経験と実践をもとに、「世界で働く力」をつけるために何が必要かをわかりやすくまとめられている。
 ハードルの高い内容を想像するが、世界で働くということについて基本的な考え方や、生き抜くためのコツ等、だれもが読みやすい章立てになっている。
 グローバルな職場環境の中で、日本人だからこそ発揮できるリーダーシップのあり方や、10年単位で考えるワーク・ライフ・バランスの考え方は、現在日本で働く人にも大いに役立つ内容である。

YA/ジ

大統領を動かした女性ルース・ギンズバーグ 男女差別とたたかう最高裁判事

ジョナ・ウィンター/著 

汐文社

 1993年、米国で2人目の女性最高裁判所判事に任命されたルース・ギンズバーグ。男性と平等の権利を!という女性の権利拡大に大きく貢献しただけではなく、男女間の不平等は男性も女性も傷つけるという論理を展開した。ジェンダー(男性とは〇〇であるべき、女性は〇〇であるべきという考え方)で、人を型にはめることに反対、「男女平等の権利」という考え方を広めた一人でもあった。また顔写真入りのTシャツまで作られたという"ちょっとしたロックスター"並みの人気があったというルース。
 本書はそんな彼女の伝記であり、ニューヨークタイムズの2017年ベスト絵本賞に選ばれている。現在85歳の彼女の徹底した姿勢は、ヤングアダルトだけではなく、「差別」と向き合うあらゆる人々に、勇気をもたらしてくれる。

101/タ

徴産制

田中 兆子/著

新潮社

 ものがたりの舞台は、深刻な人口問題を解決するため、国民投票により男性に出産を義務化する「徴産制」が課せられた社会。経済的な理由で「産役」を志願する農家のひとり息子、義務を果たしたら男に戻りたいエリート官僚、死に別れた妻を忘れられない男、夫が女になることを嫌悪する妻を持つ主夫など、考え方も境遇も異なる5人を短編で描く。
 多様化していく「性」「恋愛」「結婚」「家族」「介護」など、彼らが抱える苦悩や葛藤は、現在の日本にも通じる悩みだ。女性に課せられる社会規範や慣習、モラルなど、現実を反転させたことで、ジェンダーをめぐる社会の矛盾や不自由さ、残酷さなどが尖り出る。古い価値観を笑い、誰もが自分なりの幸福を見出せることを祈った注目のディストピア作品。

02/ヤ

ラボ・ガール 植物と研究を愛した女性科学者の物語

ホープ・ヤーレン/著 小坂恵理/訳

化学同人

 本書は女性科学者の自伝であるが、彼女の解説する植物の不思議な生態に驚き、格闘の連続である研究人生に一緒に翻弄される。
 子ども時代に科学者である父親のラボ(研究室)で遊んで過ごした彼女は、しだいに植物に興味を持ち、植物学者として研究の道に進む。研究者として実績が認められても、妊娠を理由にラボ(研究室)を立入禁止になるなど苦境に立たされるが、別の場所に新しいラボを作り研究を続ける。
 男性中心社会の数々の逆境の中で彼女が研究者として生き残るために、苦悩を乗り越えていく姿は、読者に励ましと希望を与えてくれる。彼女は、2016年「タイム誌」の「最も影響を与えた100人(パイオニア部門)」に選ばれている。

05/コ

戦う姫、働く少女

河野 真太郎/著

堀之内出版

 『ジブリの少女やディズニープリンセスは何と戦い、どう働いたのか。』帯のこの言葉が興味をひく。表紙では、甲冑を身につけ、鏡をのぞきこんだ『姫』。しかして、鏡に映る姿は現代の働く女性、いわゆる『OL』だ。
 本書では、「アナ雪」「ナウシカ」「逃げ恥」など、メジャーなアニメやドラマなどを題材に、今の時代の個人と労働との関わり方を読み解いていく。
 ポスト・フェミニズム ― フェミニズムを過去のものとする思想 ― 台頭以降、女性たち、というより私たちのつながりは、勝ち組と負け組に分断され、成功も失敗も個人の問題に矮小化され、見えないものとなっていきつつある。ヒロインたちの描かれ方を物語の大筋からではなく「働く」という視点から切り取ることで、改めて女性たちの連帯の可能性を私たちに呼びかけている。

05/ニ

日本のフェミニズム 性の戦い編 Since 1886

北原 みのり/責任編集

河出書房新社

 本著は、日本におけるフェミニズムの歴史が端的にまとめられている良書である。もっとも力強く語られているのは、フェミニズムが、これまで日本では誤解され続けている"一部の女性のためだけの運動"ではなく、あらゆる人々の「性の尊厳」を考えるための思想であるという点である。
 ところで、2017年に発表されたジェンダーギャップ指数(男女平等ランキング)をご存知だろうか。日本は世界114位、過去最低記録を更新している。一方、世界ではカナダのトルドー首相、米国のオバマ元大統領、「ハリー・ポッター」の俳優のダニエル・ラドクリフが自らをフェミニストと自認し、ここ数年、フェミニズムの持つイメージの大きな変化を感じることも多い。今こそ、老若男女を問わず、この1冊を通じてフェミニズムをより深く知ってほしい。