図書情報室

フルキャリマネジメントー子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得

52/タ

武田佳奈/著

東洋経済新報社

これまで女性の働き方は、キャリア重視で仕事に邁進する「バリキャリ」か、生活を優先して働く「ゆるキャリ」のどちらかでという二元論で語られてきた。しかし、近年そのどちらにも意欲的に取り組みたいと考える女性の働き手が増えてきた、と著者は指摘する。この新しい価値観を持つ女性たちを「フルキャリ」と呼ぶ。彼女たちの働き方を理解し、活躍を促すには、管理職たちの価値観にも変化が必要となってくる。
管理職の多くが女性の部下の育成に自信が持てないのはなぜか。なぜ彼女たちのマネジメントを難しく感じるのか。ここでは、組織マネジメントの成功例や企業の実践例から見出していく。
自分のことを信じて、成長と貢献を期待してくれるマネジャーの存在が、彼女たちの活躍を後押しする。本書は女性の活躍を最大限に引き出したい、現場のリーダーや人事担当者のためであるとともに、自分がどう生きたいのか考える、当事者たちのための本でもある。


ワンピースで世界を変える!専業主婦が東大安田講堂でオリジナルブランドのファッションショーを開くまで

68/ブ

ブローレンヂ智世/著

創元社

男性的な骨格の人がレディース服を着ようとすると、肩幅が合わなかったり、丈が足りなくて不格好になったりして、着ることをあきらめている人が多い。
体型や骨格が男性的な人が着ても美しく見えるデザインのレディース服があれば、こうした辛さを解決できるのでは、と始めたのが「メンズサイズのかわいいお洋服」づくり。筆者の起業した「ブローレンヂ」の始まりだ。
金無し、ノウハウ無し、人脈無しのないない尽くし。
ただ彼女には「性別に限らず着たい服を着て、性別にとらわれない世の中を!」という熱い思いだけがあった。
そのエネルギーこそが、フローレンヂの危機を幾度となく救う。
起業からファッションショーまでの彼女の奮闘記。
がむしゃらな姿と真っ直ぐな思いにこちらが力づけられた。

舌を抜かれる女たち

04/ビ

メアリー・ビアード/著 宮崎真紀/訳

晶文社

男性ばかりの場で発言すると軽く流された、意見しても聞き入れられない...。職場、家庭、様々な状況で女性が経験する"自分の言葉が軽視されている"という感覚。本書は、公の場で発言しようとすると女性が口を封じられた、すなわち"舌を抜かれ"てきたのはなぜなのかを古代ギリシア・ローマ時代などの古典文学を手がかかりに探っていく。そこに見えるのは、演説や人前で話す「公的発言」は男性がするものとされ、そこから女性が切り離されてきたエピソードの数々だ。その風潮は社会の根っこに残り、女性国会議員の少なさなどで現代に流れ出している。今私たちを取り巻く不均衡は、歴史的に形作られてきたものであることに気付かされる。
だからこそ、構造は変えられると筆者は言う。♯MeToo運動によって、女性が公の場で語るうねりが起きつつある今、本書はその「声」を絶やさないためのヒントを与えてくれる。

「労働」から学ぶジェンダー論 Society5.0でのライフスタイルを考える

57/オ

乙部由子/著

ミネルヴァ書房

労働環境を整備する「働き方改革」の言葉は早々に市民権を得たように見える。だが、大多数の女性労働者に改革の恩恵がもたらされるのは、まだまだ先なのではないか。
本書では、ジェンダーから見た働き方の現状確認から始まり、職場のハラスメント、キャリアの形成、ライフイベントといった章立てで、労働者=生活者をめぐる法制度とその効力を解説する。さらに、Society5.0実現への取組み、AI・IoTによって変わりゆく社会状況にも踏み込む。労働環境の今後を展望し、社会を「ジェンダーの視点を持って見る」ことの重要性・意義を説く一冊である。

スフィアハンドブック 第4版(2018)~人道憲章と人道支援における最低基準~

32/ス

支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク/編著・発行

災害時には、多種多様な団体や人が支援に関わるため、被災した地域や人々にかえってダメージや混乱を与えてしまうこともある。そこで、支援のあり方や質を確保するため、現場で守られるべき最低限の国際基準を定義したものがスフィア基準である。
日本では、内閣府の「避難所運営ガイドライン」において紹介されており、避難所に設置するトイレの割合は「女性3:男性1」といった数値を知る人も多いだろう。だが、重視されているのは、数値を達成することではなく、理念と説明責任の重要性を理解し、支援の在り方や質を見極める力を持つことだ。

スフィア基準では、「災害や紛争により影響を受けたすべての人々は、尊厳をもって生きる権利と人道支援を受ける権利を持つ」という理念のもと、人命を保つために重要な、「給水と衛生」、「食料の安全と栄養」、「避難所・避難先の居住地」、「保健医療」という4つの領域での優先事項を具体的に示している。また、すべての人に同じだけの力と資源があるわけではないとして、子ども、高齢者、ジェンダー、ジェンダーに基づく暴力、障がい、HIV/AIDS、性的マイノリティ、精神保健・心理的サポート等を横断的な課題として意識し、個々の状況が支援へのアクセスを阻害する要因となりえるのだと伝えている。
それらの問題が、平時から社会に横たわっていることに気付いたならば、どうか、ふだんの生活の中で問題の解消に取り組んでみてほしい。
私たちはいつでも、支援する側、支援される側のどちらにもなりえるのだから。

それはあなたが望んだことですか

82 カ

河野貴代美/編著

三一書房

1980年、日本にフェミニストカウンセリングの理論と実践を紹介した著者は、フェミニストカウンセラーとして約40年、仲間とともに女性のさまざまな悩みに寄り添ってきた。
それらの相談事例をもとに、現代を生きる女性が抱える問題を考察し、次世代への提案に結びつけたいと著者は言う。
その中で、これまでフェミニストカウンセリングが触れてこなかった若年層、特に若年女性の問題については、NPO法人BONDプロジェクト(10代~20代の生きづらさを抱える女の子を支援する団体)の協力を得て、若者たちの声を紹介している。そこからは、若年女性を取り巻く深刻な状況、貧困、家族の抱える問題、性暴力被害などが見えてくる。
本書には、若年女性だけでなく、高齢者、障がい者、外国籍の方などとつながるために、フェミニストカウンセリングそのものを現代に合わせてアップデートし、次世代へ伝えていきたいとの思いが込められている。
「あなたはあなたであってよい」そんなメッセージが伝わる一冊である。