図書情報室

飢える私  ままならない心と体

05/ゲ

ロクサーヌ・ゲイ/著 野中モモ/訳

亜紀書房

スレンダーな体形がもてはやされ、体重を標準(かそれ以下)に保てないことは、美しくなく、自己管理できない人と評価されがちである。そのような価値観に挑みかかるように食べて食べて食べ続け、その体重が最大で260㎏に至る日々を、"私の体と私の飢えについての回顧録"として書き記したエッセイである。
レイプで傷つけられた12歳の時以来、自分自身を守るための要塞を築いた様を淡々と語っているように見えて、その時々の激しい心の揺れが行間からにじみ出る。恐怖、不安、怒り、飢え、不器用な愛情、回復。様々な感情が、体を通して行き来する。
そして、何と、心と体はままならないものかと思い知るのだ。

科学の女性差別とたたかう 脳科学から人類の進化史まで

05/サ

アンジェラ・サイニー/著 東郷えりか/訳

作品社

今日、世界各地の女性が自由と平等を求めて声を上げる中で、またもやそれを押し戻そうと激しい努力がなされている。その根拠に科学が利用されている。客観的、合理的な知識体系のはずの「科学」が、過去にどれだけ女性に不公平な仕打ちをしていたかを考慮してほしいと著者は訴え、非科学的な科学をひとつひとつ丁寧に解説していく。例えば、数学的能力が生物学的な性差と思われたものが、実は文化的な差異であったという事例が紹介されている。
イギリスの実力派科学ジャーナリストが、神経科学、心理学、医学、人類学、進化生物学などさまざまな分野を取材し、19世紀から現代までの科学史や最新の研究成果を徹底検証し、まったく新しい女性像を明らかにする。原書は高い評価を得ており、英国物理学会誌で2017年のブック・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。

レッド あかくてあおいクレヨンのはなし

E/ホ

マイケル・ホール/著 上田妙子/訳

子どもの未来社

レッドは、自身もそして周囲も、赤いクレヨンだと思っているが、本当は青い。赤を描くことができず、混ざり合っても期待された色が表現できない。そんなレッドが、本当の自分の色を発見する。
だれもがそれぞれの色を持っていること、そしてラベルにしばられずに自分の色を見つけてほしいというメッセージが込められたこの本は、アメリカ図書館協会のレインボーリスト(LGBTの青少年向け推薦図書)にも選ばれている。

なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造

57/ナ

中野 円佳/著

PHP研究所

2016年の女性活躍推進法の施行から3年経過したが、「ワンオペ育児」という言葉が流行したように、「家事」、「育児」をしている女性に、単に「仕事」の負担を求めているだけと感じている人も少なくないのではないだろうか。
著者はその原因を、戦後の高度経済成長をもたらした、専業主婦の存在を前提とした働き方や、家庭や子育ての環境であるとし、それを「主婦がいないと回らない構造」と表現する。
この構造を変えるきっかけとして、著者はギグ・エコノミー(インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方)などの多様な働き方に兆しを見出し、後輩や子どもたちの世代に向けての制度整備を提唱している。

なぜ働き続けられない?社会と自分の力学

05/カ

鹿嶋 敬/著

岩波書店

男女の完全な平等を目的として、1979年に採択された女子差別撤廃条約。1985年に批准した日本では、同年男女雇用機会均等法が制定され、女性たちの男女平等への期待は高まった。
それから34年が経過した今、男女間の格差は解消され、女性が活躍できる社会になれただろうか。
本書は、政府の諮問機関である男女共同参画会議議員を務め、第4次男女共同参画基本計画策定等にも深く関わった著者が、様々な資料や統計を基に女性労働の問題点について解説している。最大の問題である性別役割分担意識の壁を乗り越え、真に女性が活躍できる社会になるための視点がここには示されている。

Dear Girls 自分らしく生きていくための28の言葉

07/デ

朝日新聞「Dear Girls」取材班/著

朝日新聞出版

世界経済フォーラムが発表した2016年のジェンダーギャップ指数(経済、教育、健康、政治の4分野から男女格差が示される)において、世界144ヵ国中で日本は111位と最下位レベルであった。性別に関わらず医療や教育が受けられる(ように見える)"先進国"の日本で、この順位は衝撃的な低さだ。
しかし同時に、"正直、この順位の低さには納得してしまう"という新聞記者たちが、日本での女性を取り巻く社会の「固定観念」について、2年にわたり紙上で問題提起をしたのが本書である。そしてその最大の魅力、お薦めしたいのは、「Girls(女の子)」だけではなく、年齢や性別を超え「自分らしく生きたい」と願うあらゆる人々へのメッセージにもなっている点だ。