図書情報室

選択的夫婦別姓 IT経営者が裁判を起こし、考えたこと

選択的夫婦別姓 IT経営者が裁判を起こし、考えたこと

24/ア

青野慶久/著

ポプラ新書

IT経営者である筆者は、結婚と同時に妻の姓に変更したが、そのために様々な不利益を被り、2018年に選択的夫婦別姓を求め裁判を起こした。この裁判は、500を超えるビジネスリーダーが賛同し、全国13紙の社説でも賛成の論調であった。しかし、2021年に最高裁は上告棄却とした。その経験を通して、本書では「なぜ通称使用ではだめなのか」、「新しい選択的夫婦別姓の形」、「よく言われる夫婦別姓の疑問や欠点とその回答」等について語られ、夫婦別姓を基礎から知ることができる。そして、筆者は言う「いま、困っている人がいるかに集中する。制度や伝統のために人間が犠牲になっているのは本末転倒。困っている人がいればすぐ変えた方がいい。いまの時代に合わせて、制度や仕組みを変えることは、いまを生きている私たちの使命である」と。

時代をきりひらいた日本の女たち

時代をきりひらいた日本の女たち

YA/コ

小杉みのり/文

岩崎書店

自分の可能性を追求し、果敢に、タフにデリケートに自分を生ききった女性たち31人が登場する。歴史の教科書に出てくる有名な人物だけでなく、一般的にはあまり知られていない人物も取り上げられており、こうして多くの女性たちが、長い間、閉ざされてきた扉を自らの手で拓いたからこそ、今の時代があり、今の社会があるのだと思い知らされる。
本書の対象年齢は小学校中学年。しかし、大人の私が読んでも、彼女たちがそれぞれに奮闘する人生に得るものが多かった。子どもたちにもぜひ手に取ってもらいたい。

私はいま自由なの?―男女平等世界一の国ノルウェーが直面した現実―

私はいま自由なの?―男女平等世界一の国ノルウェーが直面した現実―

05/ス

リン・スタルスベルグ/著  枇谷玲子/訳

柏書房

ノルウェーは、ジェンダーギャップ指数において常にトップ3に入り続ける男女平等先進国だ。156か国中120位の日本から見ると、眩いばかりの憧れの国で、ここに至るまでの政治的決定、国民個人の努力や意識改革があって、性別による不当な差がなく、女性も男性も満足しているに違いない!
ところが、である。そのノルウェーに暮らす女性たちの現実は、そんな幼稚な想像とは一致しないというのだ。仕事と家庭の両立が容易と言われながら、幼い子供を育てる母親の半数近くがパートタイム労働者であることはほんの一例でしかない。
ノルウェーとは労働事情などかけ離れている点は多いが、実は日本の状況とあまり違わず、若しくは、想定内の近未来を見ているようにも感じる。私たちは、このまま進み続けていいのか。先をいく彼らの経験を生かさない手はないはずだ。

ALLYになりたい 私が出会ったLGBTQ+の人たち

ALLYになりたい 私が出会ったLGBTQ+の人たち

76/コ

小島あゆみ/著

かもがわ出版

ALLY(アライ)とは、「性的マイノリティの味方、同盟者、支援者」を意味する。
著者は、高校生の時に留学したアメリカでのホストシスターの同性婚をきっかけにLGBTQ+について学び、ALLYになる。その中で行った、アメリカと日本のLGBTQ+当事者へのインタビューを通して、性的マイノリティたちのリアルな声を紹介している。
そのインタビューの中の、ある当事者の言葉に「自分と違う立場の人がたくさんいると認めている人は、もうアライだと思います」とあるように、当事者が求めているALLYとは、何か特別な活動や支援をするという事ではなく、相手の存在を認める事ができる人であると気づかされる。

ウイスキー・ウーマン  バーボン、スコッチ、アイリッシュ・ウイスキーと女性たちの知られざる歴史

ウイスキー・ウーマン  バーボン、スコッチ、アイリッシュ・ウイスキーと女性たちの知られざる歴史

04/ミ

フレッド・ミニック/著

明石書店

ウイスキーは、大麦、トウモロコシなどの穀物をすり潰し発酵させ、蒸留して造られる。この技術が生まれた紀元前から、それを担っていたのは、家庭の女性たちであった。
ウイスキーの歴史を丹念にたどっていくと、そこには驚くほど多くの女性たちが存在していることが分かる。販売量世界一で知られるブランドの基礎を築いたエリザベス・カミング。第二次世界大戦の戦禍から蒸留所を守り抜き、アメリカにおけるシングルモルトの確立に貢献したベシー・ウイリアムソン。女性は常にウイスキーの歴史の一部であり続けたが、しかるべき敬意を受けてはこなかった。
本書にはウィスキーに関わった女性たちとその貢献が記されている。ともすれば「男性的な」イメージがつきまとうウィスキーに新しい知識と価値観を加えることで、その味わいはさらに深まるかもしれない。

男の子になりたかった女の子になりたかった女の子

男の子になりたかった女の子になりたかった女の子

101/マ

松田青子/著 

中央公論新社

今年『おばちゃんたちのいるところ――Where The Wild Ladies Are』で、アメリカの世界幻想文学大賞・短編集部門を受賞し、世界から注目を集めている筆者の最新短編集。男たちの社会で、メディアでも実生活でも女が性的な対象として扱われ、世にある本や映画や音楽にも男の視点が入り込む。しかし、その混沌の中に女は女の真実の瞬間を見つける。そして気づく。いつの時代も女の視点で作られたものはあったのだと。その気づきを大切にしながら女たちは今日も混沌を生きる。筆者は彼女たちにエールをおくる「自分でつくり上げてきた自分だけの目を信じろ」と。この表題作を含め女性が感じる日常の生きづらさをユニークな表現で綴った全11話。女性たちにそっと手を差し伸べてくれる。